占星術コラム

未来の蠍座(白い鳩)とソフィア(叡智)~人の魂と地球という星の堕落と再神聖化

前回の記事で、蠍座という星座が、過去は鷲(イーグル)として表現され、現在は蠍(スコーピオン)になり、未来には白い鳩(聖霊)になる、という話を書きました。今回の記事では、未来の蠍座である白い鳩・聖霊としてのソフィア(叡智)について、グノーシスの神話などをひもときつつ、「未来の地球」について考えていきたいと思います。

蠍座は鷲(イーグル)⇒蠍(スコーピオン)⇒白い鳩(聖霊)へと3回変容する

前回、蠍座という星座の過去・現在・未来へと3回変容していく、という話を書きました。

今回は、蠍座という星座の未来の形態である「白い鳩」あるいは聖霊が、神秘学で言うとソフィア(叡智)について語っていきたいと思います。






蠍座の変遷とグノーシス派のソフィアの神話が似ている、という話

さて、ソフィアというのは、キリスト教では主に東方教会で根強く信仰されている女神的な神の女性的な側面です。一般には、「叡智」と呼ばれますが、同じく叡智を表すロゴス(男性的な叡智)と対をなすものだと言われています。

グノーシス派は、このソフィアという女神に関して独特の伝承を伝えています(細かいバリエーションや異論はありますが、この記事ではおおよそ大切なところだけを以下、要約します)。

ソフィアは、グノーシス主義のウァレンティノス派などの神話では、プレローマと呼ばれる善なる神々が住まう至高の領域の中に存在していた最低次のアイオーン(御柱、神)であった。ソフィアが、至高の創造神と同じように創造行為をしたいと思い、自分と本来ペアになる男性性のエネルギーを拒んでひとりで創造行為を行ったことで、不完全さ(悪)を含むこの世界が生み出された。

ソフィアは、傲慢さ(神に等しい存在になろうとしたこと)によって失墜し、自らが作り出した不完全な地上世界で苦しみ悩み、さまようようになった。

ソフィアはいつか、天上から彼女を救済する男性性のエネルギーを受け入れることで、牢獄から解き放たれ、天界(プレローマ)へ帰還することになる。

ソフィアとは、人間の「魂」の象徴でもあり、ソフィアの失墜と救済の物語は、人間の魂の地上への失墜と救済の可能性を示す神話元型となっている。

ここで、ソフィアの神話と蠍座の神話が類似していることに気づくでしょう。実際、蠍座というサインの背後にはソフィアがいる、と人智学系占星術師のWilli Sucherは語っています。

蠍座においては、かつて高次のものだった地球由来の霊能力(過去)が、失墜して悪しきものに変化し(現在)、再び聖化(再神聖化)される(未来)という時系列があったように、ソフィアの神話においては、かつて高次の存在だった女神(過去)が、罪によって失墜し(現在)、再び高次の世界へ帰還する(未来)という時系列が語られています。

なお、以下はともすると肉体蔑視に陥るグノーシス派とは違う私自身の見解になりますが、失墜してしまったソフィアは、地上で味わった汚れや苦悩を「なかったことにする」ことによって天界に帰還するのではなく、それらのありとあらゆる経験を、本来対となる男性性のエネルギー(キリスト意識と言ってもいいロゴスの力)によってまるごと受容されることで天界に帰還する、しかも、元いた位置よりもより高いレベルに帰還する、ということです。

つまり、失墜はむしろ、より高く飛ぶためのステップボードみたいなものだということ。

よって、蠍座が現在の蠍のように低次の世界や冥界的な体験をする領域になっていることにもまた、とても大きな意味があるのだ、ということです。これが、蠍座のミステリー(神秘)に関わる真髄だと言えるでしょう。

もっと具体的に言うと、蠍座領域で行われることは、アストラル体の浄化である、と言われています。つまり、感情・欲望・情動を(いったん死に至らしめてから)高貴なものに作り変えていく、ということなのです。






蠍座=ソフィアの神話は、地球の再神聖化の流れに関わる

さて、上記で、ソフィア=人間の魂(アストラル体)と書きましたが、同時に、アニマ・ムンディという名前で知られている世界魂のことでもあります。

人間に魂があるように、この物質世界にも魂があります。つまり、星の女神として描かれることのある地球(物質世界)のある一側面です。

癒やされたソフィアのイメージを最も鮮やかに伝える文書は、鷲(よって蠍座)と関連するものとして表現されてきたヨハネによる黙示録に出てきます。

また、大いなるしるしが天に現れた。ひとりの女が太陽を着て、足の下に月を踏み、その頭に十二の星の冠をかぶっていた。この女は子を宿しており、産みの苦しみと悩みとのために、泣き叫んでいた。(ヨハネの黙示録12:1-2)

ここで描かれている女は、癒やされたソフィアとなるべく、新しい人類(子)を生み出すために産みの苦しみの最中にいる地球の魂のことです。

蠍座の対向星座は牡牛座ですが、牡牛座が物質化(materialization)の流れに関わるとしたら、蠍座は脱物質化(dematerialization)の流れに関わる星座です。

ここで重要なのが、脱物質化とは、物質を否定し脱ぎ捨てるという意味ではなく、物質を変容させて一段高いものに作り変えるという行為です(その意味では錬金術と言ってもよいでしょう)

ラファエロ「システィーナのマドンナ」は癒やされたソフィアのイメージを最も良く伝える芸術作品

ちなみに、ラファエロの「システィーナのマドンナ」は、人智学系の占星術師のWilli Sucherによると、この癒やされたソフィアのイメージを最も良く伝える絵画だと言われています。

この絵の中にいるマドンナの背後の雲の中には、無数の子供の顔が描かれています。このマドンナは、これから地球に受肉しようとする魂とともに地上を見ているのです。






キリストの花嫁としての聖ソフィア~未来の蠍座のイメージの中に、過去の女性性と男性性の贖いの歴史も含まれている

それと、ここでもうひとつ。冒頭で引用したグノーシスの神話では、ソフィアの失墜の原因となったのは、(本来ペアとなるべき)男性性のエネルギーを拒絶して創造行為を行ったことでした。そして、ソフィアが再び復活するためには、キリストに象徴される思考(ロゴス)という男性性のエネルギーと結びつく必要があります。

白い鳩=聖霊を魂の中に受け入れ一体化することは、聖書学では象徴的にキリストの花嫁と呼ばれてきました。

このことから分かるように、ソフィアの神話(そして蠍座の神話)の中には、男性性・女性性の確執と贖いの歴史も示唆されていると言えるでしょう。

蠍座は一般的に、性と生殖に関わる星座ですが、その観点から見ても、将来の白い鳩のイメージは最も高貴な形で性と生殖、そして男女性の統合を表すものだと思われます。

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