なぜ四柱推命や算命学はビジネスに使われるのか? 十干と十進法と物質主義。「地上的な太陽意識」

最近星平会海というソフトを使って東洋占術を研究していますが、十干というものが一体何なのか?ということを考えていくと面白いなあと思っています。
私は、四柱推命や算命学など東洋の占いが特にビジネスにおいて力を発揮しやすい理由の1つが、この10進法を採用していることがあるのではないかと思っています。
シュタイナーが、十進法についておもしろいことを言っています。それが、現代における十進法はアーリマン的な影響と関わっているということです。アーリマンは、霊的な世界との関わりを否定し過度に地上的・物質的な世界に人間を縛り付け、形骸化させる一方で、科学技術の発展や抽象的な思考、そして当然現代の資本主義的なビジネスとも関わります。
十進法の世界は、現代ではたとえば私たちのお金を数えるときの計算法になっています。また、重さや長さなどを計算する際にも使われており、時間を数えるシーン以外ではほぼ10進法が浸透しているとすらいえます。
しかし、時代をさかのぼると、かつてはお金を数えるときにも12進法が(併用などで)使われている時代もありました。たとえば、イギリスではかつては1シリング=12ペンスだったこともあります。日本では、江戸時代は4進法と10進法のハイブリッドでした。
しかし、18世紀になってから、各国で次々に通貨制度が10進法で統一される流れが起きています。大きなきっかけはフランス革命ですね。※フランス革命がすごいところは、一時革命暦として一週間を5日、1日は10時間、1時間は100分とし、週、時間をも10進法にしようとしたこと・・・。もちろんこの試みは続きませんでした。日本も、明治時代になってから通貨制度の改革を行い、10進法に切り替えました。ある意味では近代化=10進法を受け入れること、だったのですよね。
10進法は、人間の手や足の指の数から来ており、手の指を折って数を数える行為から発していると言われています。それだけ、「目に見える世界」を数えるのに適している数え方なのでしょう。
一方で12進法は、時間の世界、つまり暦や月、そして占星術など古代、特にバビロン(シュメール)時代からずっと残っていて、「目に見えない世界」を数えるために使われることが多いです。
※その他、16進法や20進法など面白いネタもあるのですが、それについては話がずれるのでここでは触れません。
で、四柱推命や算命学などの東洋占術世界に戻りますが、この占術の面白いところは、天干といわれる10の世界と、地支といわれる12の世界が併用されていることだと思います。特に十干が示すのは、「太陽系の一員としての霊的な太陽ではなく地上的な意味で発揮する太陽意識」ではないかと思います。
地上的な意味で発揮する太陽意識とは、要するに現世のお金になりやすい仕事、社会での成功ということですね。ただしこの場合の太陽意識は、進化させない限りどこかで限界があります。
一方で、十二支の世界は古い霊的な感性と関わっていて、それは「そのまま追い求めると人生を迷わせるが、正しく活用すれば地上の限界を打ち破って天上的な恒星の世界に通じる月意識」なのではないかと感じています。
月は夜に輝きます。そのため、恒星の世界と親和性が高いんですね。ただ、ここで要注意なのが、月そのものを追いかけると迷ってしまう、未熟なありのままの状態では人生を迷わせる可能性がある領域だということです。
アリス・ベイリーは「月は別の天体を隠すveil(ヴェール)」だと言っています。月を打ち破ることではじめてその向こう側にあるヴルカン、海王星、天王星といった聖なる天体に到達できると伝えています。逆に言うと、これらの聖なる天体の意識を一足飛びに掴むことは難しく、月との格闘と破壊がその前提になるということなのでしょう。
その意味では、月というのは求め満たすのではなく、壊すために使うことではじめて正常に(霊的に正しいかたちで)機能するともいえるわけです。※最も面白い月の使い方は日蝕、つまり太陽の死と再生。太陽意識のバージョンアップに月を活用するのはありです。
この発想をベースにして星平会海の四柱推命や宿曜経、紫微斗数を見ると、これらの占術に対する所作というか、正しい接し方や、西洋占星術との関係性が見えてくるなあと思います。
単純に太陽が良くて月が悪いとかそういうものではないということですね。