占星術コラム

両性の均衡をもたらし黄金時代を告げる。小惑星アストライアと天王星のつながり

高橋ともえ

3月、今年の年運リーディングをお申込くださった方のチャートを見ていて、急に「アストライア(Astraea)」という言葉が浮かんだので、その方のチャートに小惑星アストライアを表示させたところ、実はかなり特徴的かつ重要な配置ができていたということが分かった、という事例がありました。

アストライアは、小惑星占星術の世界の中でもほぼ知られていない(使われていない天体)ですが、いわゆる四大小惑星と言われている最初に発見された4つの小惑星、セレス、パラス、ジュノー、ベスタに次いで5番目に発見された小惑星なのです。そういう意味では、この当時の人類の意識の中で強く求められていた女神意識なのでしょうね。

小惑アストライアは、Astraeaと綴り、「星乙女」とか「星のごとく輝く者」という意味で、乙女座や天秤座の神話と関連付けて考えられており、翼ある巨人族の女神(あるいは天使)として描かれ、剣や天秤を手にした姿で描かれます。

GearedBull at English Wikipedia, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

アストライアの神話を引用します。

オウィディウスの『変身物語』によれば、地上がサートゥルヌスによって統治されていた時代、気候は常に温暖で、耕作せずとも自然は豊かな恵みをもたらしていた。

人類はこれに満足して、まだ文明を持つ必要がなく、法律も必要なく、自ずと平和に暮らしていた。この時代は黄金時代という。

しかし、ユーピテルがサートゥルヌスから政権を奪うと、時代は白銀時代となり、世界に四季がもたらされた。

人々は糧を得るために耕作を行わざるを得なくなり、寒暑から逃れるために住居に住むようになった。続く銅時代には、人類はついに武器を手にして争うようになった。

そして最後に鉄時代が訪れ、地上にはあらゆる悪行がはびこった。鉄や金などの地下資源を手にするようになった人類は、文明や経済を発達させ、所有欲に駆られて土地の私有や海外遠征を始めた。

アストラエアーは、神々の中で最後まで地上に留まって人々に正義を訴え続けたが、この時代に至り、ついに、欲望のままに行われた殺戮によって血に染まった地上を去った。

そして彼女は天に輝く星となり、それゆえ「星乙女」と呼ばれるようになった。現在その姿はおとめ座とも呼ばれている。また、善悪をはかるために所持している天秤がてんびん座になったとされている。

出典:Wikipedia

また、アストライアは再び地上に戻ってきて、かつて地上に存在していた黄金時代の訪れを告げる女神だという信仰が強くありました。

たとえば、エリザベス1世の統治時代、彼女のイメージはアストライアと重ねられ、イギリスに繁栄をもたらす女神の化身としてあがめられました。この時代、イギリスは新世界の発見を通じて海洋帝国となり新しい黄金時代の礎を築きました。

こんな風に、アストライアは歴史的に見ても結構重要なイメージ性を持っている女神なのです。

そして、アストライアについてはとても興味深い逸話があります。それが、1781年に発見され、当時は発見者の名前であるハーシェルと呼ばれていた天王星(ウラヌス)の名前の候補としてアストライアが挙げられていたということです。

もしかすると、天王星の名前としてアストライアが選ばれていたかもしれないというのは非常に興味深いですし、結果として天王星はウラヌスの名前になりましたが、5番目の小惑星の名前としてアストライアが選ばれたということはけっこう深い意味があると思います。

なぜかというと、アストライアの手にしている天秤は正義の象徴と言われていますが、これはある意味では両極の均衡、つまり男性性と女性性という両性の均衡を取るという意味合いもあると思われるからです。

※ちなみに、最近スペインのカード作家さんから買ったKosmos Oracleの中では、天王星は天使として描かれています~

以前から書いていますように、天王星の地軸はほぼ90度に傾いていて、約42年ごとに南極と北極が入れ替わる天体です。この特徴を踏まえて、南米の神秘思想家のSamael Aun Weorは、天王星は性に関わる天体、女性性と男性性の均衡・統合をテーマにする天体だと語っています。

アストライアの天秤と、天王星の入れ替わる2つの極は、どちらも男性性と女性性均衡・統合というテーマに深く関連していると私は感じています。

ちなみに、アストライアが発見されるまでは、小惑星は4つしかないという意見があったようで、4番目のベスタの発見から38年も経ってから見つかったのがアストライアでした。アストライア発見は1845年。その後、まだまだ他にも小惑星はあるんじゃないかという認識に変わり、天文学者たちが小惑星の発見に意欲的になります。その後、海王星が1846年に発見された後は、次々に小惑星が発見されていくようになります。

小惑星の特に最初に発見された天体って、かなり色々面白い示唆に富んでいると思うのですが、個人的にはアストライアは結構注目している小惑星です。

※実は下記の記事で書いているキロン・ヒュゲイアが2019年の初旬に重要な動きをしていたとき、アストライアもそこに関わっていました。

メディシンウーマンの復活とガイア(地球)の精霊界の活性化~温泉、クリスタル、アーシング、森林浴のすすめと小惑星ヒュゲイア先日から自宅の庭でアーシングしているという話を書きましたが、どうもここ最近、ガイア(地球)の活性化の度合いが半端ない気がするのですが、皆...

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高橋ともえ
高橋ともえ
星読み風水師
1981年生まれ。 魂の可能性を緻密に描き出すドイツ系西洋占星術と陰陽五行説に基づく日本の卍易風水を組み合わせて「魂の高揚感を地に足をつけて楽に生きる」お手伝いを講座やセッションを通して提供しています。 訳書に、『ヒーリングエンジェルシンボル』(ヴィジョナリーカンパニー)、『四気質の治療学』(フレグランスジャーナル)がある。詳しいプロフィールはこちらから。
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