リリスと月の遠地点~花の香り(聖なる性の力)を強める豊穣の闇
私は、月のリズムを活かした農業やガーデニング(ムーンガーデニング、Moon Gardening)、バイオダイナミック農法に興味があって、種まきカレンダーや、Moon Calenderなどドイツ語や英語のカレンダーや書籍を取り寄せて研究しています。その中で気づいた興味深いことがあります。
それが、月の遠地点(Apogee)についての説明です。
バイオダイナミック農法やムーンガーデニングの世界では月の遠地点(Apogee)として知られているこのポイントは、占星術をご存知の方ならわかるとおり、リリス、またはブラックムーン(Black Moon)と呼ばれるポイント(感受点)です。
※なお、リリスについてはまた何記事か書いていきますね。一般に日本であまり知られていない面白い読み方が進化占星術の中にありますので。
この記事では、月の遠地点としてのリリスのより深い意味を、ガーデニングや農業の世界で実証されている研究内容から考察してみます。
なお、バイオダイナミックやムーンガーデニングで使う12星座は、一般的な西洋占星術で使うトロピカルゾディアックの12星座とは異なりますので注意してください。
この記事の目次
月の遠地点(Apogee)とは? 定義・意味
まず、月の遠地点とは何かについてざっくり説明しますね。
地球の周りを公転する月の軌道は、実は正確な円ではなく楕円形になっており、月が最も地球に近づく部分と、最も地球から離れる部分があります。
月が最も地球に近づく部分が月の近地点(Perigee)、月が最も地球から離れる部分が月の遠地点(Apogee)と呼ばれます。
そして、月の遠地点は、占星術ではいわゆるリリス、ブラックムーン(Black Moon)と呼ばれるポイントになります。
※なお、月の遠地点・月の近地点は天体ではなく揺れ動いているため、占星術ではmean(ミーン、平均値)とtrue(トゥルー、正確な値)の2種類があり、度数が結構ずれます(最大30度近く)が、私は進化占星術の手法に従ってtrueの値を使います。
バイオダイナミック農法・ムーンガーデニングでの月の遠地点に関する研究結果
さて、この月の遠地点に関してガーデニングや農業ではどのような研究結果が出ているのか、簡単にご紹介します。
月の遠地点が根(土)の星座にあるときに月が運行するときに種をまくと、じゃがいもが豊作になる
月の遠地点が根(土)の星座にあるときに月が運行するときに種をまくと、じゃがいもが豊作になると言われています。
なお、ここでいう根(土)の星座とは、
- 牡牛座
- 乙女座
- 山羊座
の3つの星座になります。
※じゃがいもが以外は、遠地点(近地点も)に月が来る前後12時間は種まきは避けるようにとバイオダイナミックでは言われているようです。流派によっては近地点の種まきも行うようですが、ぽっこわぱが出している種まきカレンダーでは結果が正反対になるので注意するようにと言われています。
>>>種まきカレンダー2018
それにしても、なぜよりによってじゃがいも・・・(笑)なぞですね。
家庭菜園をされている方は調べてみて実験してみてください、笑
月の遠地点を月が通るときは、花への作用が強まる
、
そして、もっともっと面白いことがあります。
それが、どの星座に月の遠地点があったとしても、月の遠地点を月が通過するときは花の力(香り、花の成長)が強まるのだそうです。つまり、月がリリスを通過するときは花が活性化する、ということです。
そのため、バイオダイナミックカレンダーでは、月の遠地点が根(土)の星座または葉(水)の星座にあるときであっても、その時間帯は、花を司る光(風)の星座扱いをするという流派もあるそうです(オレゴンのバイオダイナミックファームのカレンダー、Stellanaturaのカレンダーではそのようになっています)。
※ちなみに、根(土)や葉(水)以外に実(火)の星座もありますが、実はもともと花から結実するのでそのままです。
花は植物の生殖器。リリスと月が合になるときに花の力が強まるのだとしたら、本来のリリスは聖なる性の力を活性化するポイントでは?
このような月の遠地点に関するバイオダイナミックやムーンガーデニングの研究結果や実証を読んで私が感じたのは、花は植物の生殖器ですから、占星術におけるリリス(月の遠地点)は、癒やして使えば聖なる性の力を強める働きがある重要ポイントなのではないかということでした。
もともと占星術でリリスの神話や解釈において性(セックス)の話は切っても切り離せないものですが、通常の解釈では、どうしてもトラウマや傷にフォーカスしたリーディングや面白半分のものが多いんですよね。
しかし、占星術においてリリスと呼ばれる天体やポイント(感受点)は3つあり(別記事で今度書きます)、それぞれ若干意味が異なっています。
そして、月の遠地点としてのリリスは、リリス的なテーマを最終的にまとめあげる統合ポイントとして機能する、と進化占星術師であるTom Jacobsは語ります。※彼によると、トラウマや傷はむしろDark Moon Lilithとして知られる仮想天体が司るらしいです。これについても今度別記事で説明しますね。
>>>Lilith: Healing the Wild (English Edition)
リリスを開発するには、本能的な力や性の力を聖なるものとして昇華させることがポイント
私は、リリスをエロとかセックス(性衝動)だけに限定されるものだと考えたり、週刊誌的なシモネタだけに限定した解釈をしてしまうと、リリスの低次の側面しか開かれない(あるいは過去のリリスにリリスを限定してしまう)ではないかと思っています。
植物は、ある側面では未来の人間の姿を示していると言われています。
月をリリスが通過するときに植物の花や実が活性化するのは、地球の中にある粗削りの生命力(性)をそのまま使うのではなく、上昇・昇華させるからです。
だからこそ、植物たちの生殖器である花は、堂々と天に向かって開き、良い香りで周りの存在を癒やすことができるのです。
このような植物の在り方をお手本にするならば、人間も性のエネルギーを昇華させるという意識があるとき、リリスを上手に開発できてリリスをしっかり自分の一部として建設的に活かしていけるのではないかなと思います。
もともとタントラとか性魔術とかの話は苦手でしたし、そういうのに興味持つ人を警戒していたのですが、ここ最近自分のチャートで3つのリリスを確認していくと、リリスってもっともっと深遠なものだと感じていますし、特に性にまつわる野生的な力は人間の全人格的な統合にはやっぱり必要だなーと感じています。
リリスは花の香り(聖なる性のちから)を強める豊穣の闇なのです。
これからいくつかの記事を通して、リリスについての話を詳細に書いていきますね。