占星術コラム

占星術の3つのリリス~内なる野生(性)を成長させると平和が訪れる

リリスは、通常占星術ではミーン値(平均値)の月の遠地点ですが、実は他にもリリスという名前を与えられている天体やポイント(感受点)があります。この記事では、進化占星術(Evolutionary Astrology)の流派で考えられている3つのリリスを「内なる野生」という切り口から説明していきます。

※この記事のカバー画像は、ロセッティのリリスとシュビラという対になる画像。創造性のエネルギーを官能美として表現しているリリスと、自然や宇宙と交信する精神的知性として表現しているシュビラですが、モデルの人物は同一人物です。

占星術では3つのリリスがある~小惑星リリス、「2つ目の月」ダークムーンリリス、月の遠地点リリス

占星術ではリリスという名前のついた天体またはポイントが3つあります。それが、

  1. 小惑星リリス(Asteroid Lilith)
  2. ダークムーンリリス(2つ目の月)(Dark Moon Lilith)
  3. 月の遠地点リリス(Lunar Apogee)

この3つになります。

※月の遠地点リリスにはトゥルー値とミーン値があります。この記事ではトゥルー値を前提に話をすすめていきますね。理由についてはこちらの別記事で書いていきます。

小惑星リリス~原初の女性の創造エネルギー

小惑星リリスは、3つのリリスの中で唯一物理的な存在で、1927年2月11日に発見されました。火星と木星の間の小惑星帯に存在しています。

リリスの名前は、フランス人のクラシック音楽家・作曲家のリリ・ブーランジェ(Lili Boulanger)にちなんで名付けられました。リリ・ブーランジェは、2歳にしてクラシック音楽の才能を認められた神童で、ピアノなどの楽器はもちろん、クラシック音楽の作曲でも才能を発揮し、24歳の若さで亡くなった短い人生の中で、数多くの楽曲を作曲し、19歳で女性初のクラシック音楽作曲賞であるローマ大賞も受賞しています。

リリ・ブーランジェのポートレート写真がこちらです。


(出典:Wikipedia


(出典:http://orchestrationonline.com/uncategorized/lili-boulanger-in-her-own-right/

まるで少年のような若々しさ・瑞々しさ・才気煥発さがあり、いわゆるセクシーなリリスイメージとはまったく違う雰囲気がありますよね。

リリ・ブーランジェは、語学の才能に加えて楽器を初見で演奏できる才能がある「神童」「天才少女」であったと言われています。また、自然と動物を深く愛し、飼い犬と一緒に撮影されている写真もあります。

小惑星リリスは、力強い原初の創造性のエネルギーに満ち溢れた女性(性)、エデンの楽園で自然や動物と調和した原初の女性性の象徴です。

リリスは、アダムの最初の妻としてエデンの園に住んでいました。庭園(楽園)の女主人として、自然や動物と親しげに語らい、創造エネルギー(性のエネルギー)を、誰に搾取されるでもなく何ら制限されることなく思う存分使うことができた時代の女性性、野性のエネルギーを意味すると言われています。

小惑星リリスはおよそ4年で太陽の周りを一周し、各サイン(星座)に132日間滞在します。

小惑星リリスは、Astrodienstのサイトで計算できます。Extended Chart Selection(さらなるチャート選択)を選択し、additional asteroids or hypothetical planets(他の小惑星または恒星または感受点を表示(対応するリストを選択してください))のところに1181と入力すると、チャートに表示されます。






ダークムーンリリス~人間の最もダークな欲望の投影

占星術ダークムーンリリス

2番目のリリスは、ダークムーンリリス(Dark Moon Lilith)と言われている仮想のポイントです。

月の楕円形の軌道の中で、地球と月の遠地点の間で地球とちょうど鏡像反対にくる部分に、2番めの月、あるいはゴーストムーン(Ghost Moon)が存在しているという説があります。ダークムーンリリスは、この想像上の天体のことですが、1618年には天文学者がそれを「観察した」という記録も残されています。

1898年、ドイツ人の天文学者のヴァルダーマト(Waldermath)がこのダークムーンリリスを見た(観察した)と主張したことで、再び歴史上の話題にのぼります。その後、1918年に占星術師のセファリエル(Sephariel)が取り上げたことで、占星術の世界にダークムーンリリスの存在が入ってきました。

ダークムーンリリスは、太陽と正反対の位置にくるときにのみ、ぼんやりと赤っぽい雲のように見えると言われています。太陽の光を反射する月とは異なり、太陽の光を反射しない雲のような存在がダークムーンリリスです。

ダークムーンリリスは、人間の動物的な本能の最もダークな欲望を投影した領域、もしくは人間が普段は見ないようにしている生そのものに対する破壊的衝動がより集まる領域だと言われています。猟奇的な事件や、子どもや少女・女性に対する(性的な)虐待などを起こす衝動もこの辺りの領域と馴染み深いと思います。

リリスの神話において、自分を屈服させようとするアダムと訣別し、怒りながら荒野へ逃げていったリリスが、悪魔たちとの間に子どもをつくる一方で、人間の子どもを殺そうと復讐を狙っているという記述がありますが、ダークムーンリリスはこのステージのリリスに相当します。

ちなみに、ララバイ(lullaby)は子守唄のことですが、語源は、「リリスを去らせる」です。子どもを魔物から守るために歌われていたのですね。

ダークムーンリリスは、人類が持っている破壊的衝動、理性の及ばない救いがたい動物的衝動、生そのものへのネガティブエネルギーであり、そのような体験の被害者・加害者体験(=当事者体験)を象徴します。

ダークムーンリリスは、およそ119~171日周期で動き、各サイン(星座)に約10日滞在します。

ダークムーンリリスは、Astrodienstのサイトで計算できます。Extended Chart Selection(さらなるチャート選択)を選択し、additional asteroids or hypothetical planets(他の小惑星または恒星または感受点を表示(対応するリストを選択してください))のところにh58と入力すると、チャートに表示されます。






ブラックムーンリリス~原初の性と欲望を昇華させて聖なる性のエネルギーに変えた女神

そして、リリスの最後のステージが、ブラックムーンリリスです。

このブラックムーンリリスは、一般に言われているようなエログロ?とか性的欲望?みたいな解釈の範疇を超えるより深遠な可能性を示唆しています。

ブラックムーンリリス(月の遠地点)を月が通過する時、植物の花の香りが強くなり精油成分が強くなるように、ブラックムーンリリスは、性的な(アストラル的な)エネルギーを美しく昇華させる可能性を示すポイントです。

ブラックムーンリリスについては、以下の記事を書きましたので、参考にしてください。

小惑星リリスが原初の傷のないピュアなリリス、ダークムーンリリスが傷つき怒りに燃えているリリスだとしたら、ブラックムーンリリスは、未来のリリス

ブラックムーンリリスは、欺瞞や偽善、間違った役割や幻想から解き放ち、本来持っている(小惑星リリスが象徴するような)パワフルな創造性のエネルギーを、(ダークムーンリリスが象徴するような)痛みや過ちを超えて建設的に使う、聖なる性のエネルギーに昇華することを教えてくれます。

倒錯・復讐・怒り・支配・独占・劣等感・優越感などに使われていた性のエネルギーを、健やかな調和的なエネルギーに変えることができるよう導くのがブラックムーンリリスです。

ブラックムーンリリスは、人生の中から本質的ではないものを切り離し、本来の在り方、正直で誠実な感情へとその人を向かわせてくれる道を照らし出します。その過程でどうしても、自分の過去の傷や欺瞞に向き合わねばならないからこそ、ブラックムーンリリスは恐れられてきました。

ですが、闇雲に恐れる必要はないのです。未来のリリスであるブラックムーンリリスは、真の自己(太陽の都)への道を示してくれる癒やされた過去(月)からの応援なのだから。ちょうど、タロットカードの「月」のように。

ブラックムーンリリスは、9年かけてホロスコープを一周し、各サインにそれぞれ9ヶ月程度滞在します。9という数字から分かるように、リリスには生殖・創造行為(受胎と出産)との関連性が強くあります。

ブラックムーンリリスは、通常のチャート計算ではミーン値で計算されます。しかし、進化占星術師のTom Jacobsの鑑定経験によると、トゥルー値のブラックムーンリリスのほうがクライアントが実感を持ちやすいのだそうです(別記事で詳述します)。トゥルー値のブラックムーンリリスは、Astrodienstのサイトで計算できます。Extended Chart Selection(さらなるチャート選択)を選択し、additional asteroids or hypothetical planets(他の小惑星または恒星または感受点を表示(対応するリストを選択してください))のところにh13と入力すると、チャートに表示されます。






未来のリリス=未来のイブ。パワフルだけど誰も傷つけない、復讐心から解放された平和な力を持った女性性へ

以上、主に進化占星術師のTom Jacobsの本を参考にしつつ、私なりの解釈を交えて3つのリリスについて説明してみました。

>>>Lilith: Healing the Wild (English Edition)

ここまで書いてきて、未来のリリスは未来のイブとイコールなんじゃないかという気持ちがしています。女性たちは、野性的なリリスと、従順なイブの2つを統合できずにいたと思いますが、未来においてこの2つは一つになるんじゃないかと思います。そしてその時、本当に女性がパワフルでありながら誰も傷つけない、復讐心から解放された平和な力を持てるのではないかと思います。

次回以降の記事では、具体的に3つのリリスをどんなふうに解釈していくか、私のチャートを例にしながら書いてみようと思います。

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