ムーンノートワーク

魂の尊厳に基づく豊かさを求めて、すべてを捨ててパリに移住したピアノの兄弟子と亡き王女のためのパヴァーヌ~牡羊座28度失望する聴衆と29度天球の音楽

昨日か一昨日かな? 金星が牡羊座28度失望する聴衆と、牡羊座29度の天球の音楽を通過したあたりで、ずーっと忘れていたピアノの兄弟子のことを思い出しました。

おそらくは、今年2回ある獅子座上弦の月のエネルギーとも感応していると思います。

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獅子座上弦の月は、牡牛座太陽との関係性で、権力と芸術っていうテーマですね。あるいは、真の豊かさと尊厳と言ってもいいかもしれない。

今日お話する私のピアノの兄弟子は、以下、Tさんと呼びます。

Tさんは、私の実家のある地元では有名な国会議員の息子さんで、師事していた私たちの先生が溺愛するくらいのすごいピアノの腕前を持っていながら、大学はW大の政経に進み、将来は二代目の政治家にという生き方を嘱望されていた人。

まー、遠目に見ていてもTさんにはカリスマ性がありましたね。
彼の上にお兄さんはいたけれど、政治家のお父さんに一番似ていたのはこのTさんだったと思います。

ただ、Tさんが私のピアノの兄弟子だったと言っても、師事していた先生が同じだったというだけで、私なんて不肖の弟子だったし、レッスンでたまにすれ違うくらいの間柄だったので知り合いとは言えない状況でした。
でも、私たちの教室の中では、もう圧倒的な有名人でした。いつも発表会ではトリをつとめていましたしね。

とはいえ、近寄りがたさもかなりあった(笑)たとえば、発表会の舞台袖で皆で待っているときにイライラと神経質そうにしていたり、教室の生徒同士でひそひそ話をしているとあからさまに嫌な顔をされたりしていたので、正直私にとってTさんは「いけ好かないやつ」でした(笑)

で。

そのTさんなのですが、私が大学に入学する前の前の年に、W大卒業してからT大の仏文の修士課程に入学されて、私が大学2年生の5月くらいに、パリに国費留学するということが決まったんです。

Tさんはそのフランス行きの前にミニリサイタルを開催するということになり、先生の召集の元、教室メンバーが裏方としてお手伝いすることになりました。私も暇な人員ということで先生に頼まれて駆り出された。

Tさんがリサイタルを開いたのはベーゼンドルファーが置いてあるこじんまりした小さなスタジオで、当日の私は、便利屋さんというか、舞台袖で控えつつTさんからの指示に柔軟に対応する人員ということになっていました。超緊張ですよ・・・(*´Д`)

その日リハのときから来るように言われていたので、私は午前中から行ったのですが、まー、Tさんのこだわりの激しさったらなかった・・・。

蓋の角度から、ピアノを置く位置から、それはそれは細かい調整を指示だしして。曲ごとに微妙に変えるべき部分もあって、私ともう1人の人とでてんやわんやしていました。

ただね、そのリハの最中にちょっとびっくりすることがあったの。

それが、突然Tさんが、ピアノの音がちょっと気に入らないと言い始めて自分で軽く調律をはじめたこと。

え、そんなことまでできるの?ってびっくりしました。

ものすごく真剣なまなざしで音を調整し始めたTさんを見て、ここまでこの人はピアノが大好きだったんだなあと思ったんです。

私のピアノの先生曰くTさんは当然音大には入れるレベルだけど、音楽の道は親に反対されたからいかなかったのよということでしたが、それを思い出しました。

音大には進まず多分親の期待で政治系の方に進んだけど、結局は大学院で仏文に入っているのだから、やはりTさんは、文化や芸術を愛している人だったんだよね。

・・・そしてリサイタル本番。

単なる一般人のリサイタルでしたが、お父様の政治家の方のつてなのか、ちょっとした有名人もいらしていまして華やかな感じがしましたが、メインのお客様はTさんの大学時代のお友達でした。

演目のメインはフランスにちなんでラヴェルやドビュッシーが多かったのですが、個人的にはベートーヴェンのテンペストが一番Tさんらしいなあって思って聞いていました。あの激しい葛藤するような感じが、眉間にしわを寄せたTさんらしいと思ったのです。

ですが、リサイタルの最後、Tさんがアンコールで弾いたのは亡き王女のためのパヴァーヌ。

その古風でどことなく郷愁を誘う旋律を聞きながら、私たちのピアノの先生は泣いていました。子どもの頃からTさんを知っていて、「〇〇くん」っていう愛称で呼んでいたくらいの溺愛ぶりだったから、これから3年離れるなんて先生にとってはとても辛いんだろうなあと思いました。

私は裏方スタッフとして緊張しまくりでしたが、「いけ好かないやつ」認定していたTさんが、単純にピアノバカというか、ピアノが好きで好きでたまらないがゆえに神経質で不器用になっていただけなんだということに遅ればせながら気付けて、すごくよかったなあって思いました。

そして、ちょっと後悔したのは、もうちょっと私のピアノの腕前が良かったら、真剣だったら、多少は仲良くなれたかな・・・ということ。

そう、Tさんは、アクセサリーとしてピアノを楽しむというよりは、もうピアノが好きで好きで仕方ないっていう域の愛だったんですよね。そういう意味では、Tさんは全く政治家には向いていないのだと思いました。
※でも、ピアノが弾ける若手国会議員とかになったら、すっごい票が集まりそうですがwww(←ミーハー少女漫画脳w)

で。

パリへ渡ったTさんのその後。

なんと学業の傍ら日本の某大企業でバイトをしているうちに、能力を認められて異例の現地採用職員になったので、国費留学の奨学金が切れたあとは、パリにほぼ移住状態になってしまったんです。
噂ではフランス人の彼女と結婚直前とかいう話もありまして、もう日本には帰りたくないと言っているらしいと。

この話を私にしながら、ピアノの先生はすごく寂しそうにして嘆いていましたが・・・

これほんと、えー!?って展開でした。

そんな風に学歴も家のバックも何もかも捨ててパリで一会社員になっちゃっていいのー?みたいな。

でも、風の便りで聴くに、すごくいい笑顔で笑うようになったという話だったので、きっとTさんはパリの水があっていたのでしょう。

もちろん、T大仏文を出ても大学でポストを得るのは難しいし、日本にいる限りTさんは政治家〇〇さんの息子っていう扱いを受け続けて、二世議員になるプレッシャーからは逃れられないだろうし。

なにより、あそこまでピアノに対して真剣な人にとってはヨーロッパの方が生きていきやすいだろうなあとは思いました。だって音楽が身近にあるからね。

でも、きっとどこかで日本に帰ってくるだろう、あと数年くらいしたら、と皆が思っていたのですが、そんなときある大事件が起きたんですよ。

それが・・・Tさんのお母様が引き起こした不祥事(借金事件)によって、地元では有名だった豪華な白亜の豪邸が売却(差し押さえ)されるという大スキャンダル事件でした。

当時のTさんのお父様は某省大臣をつとめていたので、これはもう連日ものすごいニュースになりました。

この事件の後ほどなくTさんのお父様は政界を引退され、豪邸からは誰もいなくなり、Tさん家族のその後は全く分からずじまい。噂では家族皆で息を潜めるようにして都内で暮らしているということでした。家族ぐるみでつきあいのあったピアノの先生はショックでしばらくかなりふさぎ込んでいましたね・・・。

この一連の流れの中で私が感じたのは、Tさんのおうちは、政治家として盤石な基盤を持ったお父様と、資産家のお嬢さんだったお母様という組み合わせで、表面的には飛ぶ鳥を落とす勢いを誇っていたけど、実際には中から見たら全く違っていたのかもしれないということです。

そもそも神経質で職人気質なTさんは、少女漫画脳が萌える陰キャなカリスマ性はあったけど、どうみても政治家に求められるような根回し力のある老練さもないし、ましてやパーティーピーポーとか人たらしではなかったので、柔和でやり手のお父様とは顔以外はほとんど似ていなかったと思います。

だから、Tさんは、ひょっとしたらご家庭で政治家にと色々な期待をされることに苦しんでいたのかもしれません。

パリに行ってから彼が下した選択は周りの人を盛大にがっかりさせたけれど、日本から遠く離れた異国で普通の市井の生活を手に入れることで、音楽の純粋性を求めながら穏やかに暮らすという望みを果たしたのかもしれません。

・・・結局、ピアノの先生に対してはTさんの話題は禁句なので、その後の彼の消息を私は全く知らない。

でも、私個人としては、願わくばTさんには、パリの空の下で、日本の実家のありとあらゆるしがらみやくびきから解放され、思う存分ピアノを弾ける静かな環境でおだやかに暮らしていてくれていたらいいなあ、と思います。

私が最後にTさんの音を聞いたのはそれこそ20年前ですが、この話をブログに書きながらなつかしの亡き王女のためのパヴァーヌを聞いていて感じるのは、華やかな世界に住んでいたTさんが望んでいたのは、この曲のように少し古風で素朴な人生だったのかもしれないなーと思います。

そして、その人の個性や尊厳に合わない豊かさの方向性は、たとえそれが一般的には非常に豪華なものであっても、多くの人にうらやましがられるものであっても、やはり豊かとはいえないんじゃないかなということです。

今コロナで少しずつ豊かさ観が変わっていると思うのですが、私たちの恐怖の多くは、過剰な欲望によって成り立った豊かさを得られなければ敗者であり、惨めであるという偽のサバイバルの恐怖からできているように思います。

改めて、牡羊座のサビアンシンボルの28度と29度は、

✔ 失望する聴衆
✔ 天球の音楽

ですけど、Tさんが周りからの期待に応えないことで得た人生は、彼の魂の純粋さ(天上的な質)を守るためには重要なことだったんじゃないかなと思う。

そして、次の牡牛座への橋渡しとして、そのようにして守られた魂の尊厳のもとではじめて、Tさんらしい豊かさの形が決まったのだろうなということです。

つまり、一つの物差しで測った豊かさ(たとえば収入やジェンダーなど)の平等性や優劣ではなく、個性に応じた最適な豊かさをそれぞれが模索して手に入れられる機会の公正性こそが、本来の私たちの魂の尊厳につながるということです。

これは獅子座と牡牛座のテーマでもあり、天王星牡牛座と土星水瓶座のスクエアのテーマでもありますね。

また、後ほど星読みで獅子座上弦の月は分析します☆

P.S.ちなみに、昔、ラヴェルについては星を読んでYoutubeにアップしましたー

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高橋ともえ
1981年生まれ。訳書に、『ヒーリングエンジェルシンボル』(ヴィジョナリーカンパニー)、『四気質の治療学』(フレグランスジャーナル)がある。詳しいプロフィールはこちらから。
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