天体の逆行とヘリオセントリック占星術の会合周期~天上での新しいサイクルに対応するための地上での変容と調整のとき
西洋占星術のジオセントリック天体の逆行期間は、一般的にあまり良くない(ネガティブな)意味を持たれています。しかし、ヘリオセントリック占星術もしくは天体の会合周期の視点を持つことで、ジオセントリック天体の逆行の意味を天上的な視点(ヘリオセントリック的な視点)から解釈することができます。実は、天体の逆行期間は、天上での新しいサイクル(会合周期)に対応するための地上での変容と調整の期間なのです。この記事では、天体の逆行とヘリオセントリック占星術の会合周期の関係性について書いていきます。
当サイトでは、基本はジオセントリック・トロピカルゾディアック(いわゆる普通の西洋占星術)の情報を中心にしていますが、重要な節目では、ヘリオセントリック(太陽中心)・サイデリアルゾディアックの占星術の情報を発信しています。この記事の中で「ヘリオセントリック」と書かれている天体の情報は、すべてヘリオセントリックの天体情報であり、「サイデリアル」と書かれている天体の情報は、すべてサイデリアルゾディアックの情報になります。特に何も書かれていない場合は、ジオセントリック・トロピカルゾディアック(いわゆる普通の西洋占星術)の天体情報になります。
この記事の目次
地球と天体のヘリオセントリック会合は、常にジオセントリックの逆行期間に行われる
ヘリオセントリックの地球と天体の会合周期は、常にジオセントリックでその天体が逆行している期間中に始まります。天体の逆行は、地球から見たときにしか起こりません。逆行はジオセントリック占星術特有の現象です。
逆行という現象は、太陽の周りをより速く動いている天体が、より遅く動いている天体に追いつかれ、追い越されるときに起こります。そしてこのとき、太陽から見ると(ヘリオセントリックでは)、太陽・地球・該当する天体が一直線に並ぶ現象が置きます。そしてこれが、地球とその天体との新しい会合周期の始まりとなります。
地球と天体のヘリオセントリック会合は、常にその天体と地球とが最も近づくときに起きる
そしてもう1つ重要な法則があります。それは、その地球と天体のヘリオセントリック会合は、常にその天体と地球とが最も近づくときに起きるということです。※ここでいう最も近づくとは、ある一定の観察期間の中でという意味です。
ただし、水星と金星に関しては、地球と太陽の間にあり、見えないためこの法則は当てはまりません。
天体の逆行期間は、ヘリオセントリックの以前の会合周期からの切り離しと新しい会合周期への接続が起きる変容と調整の期間
したがって、ある天体が地上から見て(ジオセントリックで)逆行する期間というのは、ヘリオセントリックで見ると、その該当する天体の以前の会合周期からの切り離しと、次の新しい会合周期への接続が行われる変容と調整の期間だと考えられます。
したがって、逆行期間は2つのパートに分かれると考えられます。
- 地球とある天体がヘリオセントリックで会合(地球暦で言うと結び)になる前のパート
- 地球とある天体がヘリオセントリックで会合になる後のパート
逆行の最初のパートでは、古いエネルギーからの切り離しと、以前の会合周期でテーマとなっていたことを手放していくエネルギーが働きます。
逆行の次のパートでは、新しい会合周期でテーマとなることに気づき、それを統合していくためのエネルギーが働きます。
そして、逆行が終了し順行に戻るときには、私達は新しい会合周期のエネルギーとテーマに完全に接続した状態で進んでいくのです。
ヘリオセントリックの視点から見ると、逆行は「虫が蛹になって蝶になる」変容(トランスフォーメーション)期間
ヘリオセントリック・地球暦で言うところの地球とある天体との会合周期は、その天体のテーマに関して絶え間ない成長・進化のスパイラルを生み出しています。そして、その天体がジオセントリックで見て逆行するときというのは、いわばこの螺旋のスパイラルのオクターブ上へのシフト期間なのです。
したがって、ヘリオセントリックの視点を取り入れた上で逆行期間を改めて解釈するならば、逆行期間とは、その天体が象徴する分野において、心身体の様々なレベルで私達自身を再確認・再定義することができる機会だと言えるでしょう。
逆行期間中、私達の中にある低次のパターンが手放しのために浮上します。それを手放すことではじめて、私達は次にやってくるオクターブ上の成長のスパイラルに入っていくことができるのです。
逆行は、芋虫が羽化して蝶になる前の蛹(さなぎ)の状態に似ています。蛹の中で芋虫は、それまでの形状を失い、ドロドロに溶けた状態になり、そこから蝶の形へと変容(トランスフォーメーション)します。
逆行のプロセスにおきかえると、
会合前のパートは、芋虫の形がどろどろに溶けるフェーズ。
会合後のパートは、蝶の形へ変容するフェーズ。
そして、逆行終了によって順行に移るときは、さなぎから羽化するフェーズだと考えられます。
逆行が「不幸」「不吉」なものだと言われていた理由は?
伝統的な占星術や過去の伝承では、逆行は不幸で不吉であり、天体のパワーが弱まるという解釈をされることが多いです。
この解釈は、既存のシステムを続けたい、過去のパターンを踏襲したい、これまでやり方を続けたいというエネルギーが強いと強いときに生まれてくるものだと考えられます。過去の占星術は権力者や体制・支配者と結びついて発達してきたので、必ずしも天上の意志とは沿わない部分があるからです。
また、逆行は調整期間のため、エネルギーがどうしても内向します。そのため、外から見ると活動力が弱まっているように思われるため不幸で不吉だと考えられたのではないでしょうか。
ジオセントリックの逆行の「真価」はヘリオセントリックの視点を入れると見えてくる
しかし、過去のパターンを壊し、手放して次の新しいパターンへシフトするというヘリオセントリックの会合(太陽意志)と連動して起きるジオセントリックの天体の逆行の真価は、不幸や不吉というようなステレオタイプの解釈ではその深い意味と意義が分からなくなります。
ジオセントリックの逆行は、ヘリオセントリックの会合と連動する現象ですので、非常に天上的・スピリチュアル的な意味があると考えられます。
「水星の逆行だから交通機関の遅れに注意!」というような表面的な吉凶の判断だけでは、逆行のときに流れ込んでいる天上的(ヘリオセントリック的)なパワーとエネルギーを受け取りそこねると思います。
水星逆行中は、確かに遅刻やすれ違いなど表向きの活動をするには向いていない時期かもしれませんが、その代り、書物をしたり、プランを練ったり、交渉事を進めたりするのに適している時期です。また、この時期は、日常的な論理的思考を離れてより高次の思考に触れるのに適している時期でもあります。
このように、トランジットで逆行する天体がある時期は、その天体のより高次の使い方、より内面的・内向的な使い方をすることで、よりヘリオセントリック(太陽意志)の動きに調和していけるのではないでしょうか。
逆行期間は、天上への扉が開いて、トランスフォーメーションのエネルギーを受け取れる時期なのですから。
地球とある天体の会合周期の平均日数
参考までに、地球とある天体の会合周期の平均日数の表がこちらです。
水星は1年におよそ3回、金星は1年7ヶ月に1回、火星は2年に1回、木星以降の天体はおよそ1年に1回逆行期間を持ちます。
一般的なジオセントリック占星術では、逆行期間中に気をつけるべき日として逆行開始・逆行終了のタイミング(留、ステーション)を指摘することが多いですが、ヘリオセントリックの視点を入れるなら、逆行中にある天体と地球との間の会合が起きるポイントこそ、分水嶺のようにエネルギーが切り替わる時期になるので、注意・注目するとよいでしょう。