占星術の留(station、ステーション)とは?トランジットの解釈・事例について
占星術で天体が逆行に入るときと順行に戻るときにほとんど動きを止めている状態を留(station、ステーション)といいます。この記事では、トランジットで天体が留(station、ステーション)になるときにどういうことが起きるのか、どんな出来事が置きたのかという解釈や歴史的なイベント・出来事・事件などの事例について書いています。
この記事の目次
※占星術の留(station、ステーション)の定義・意味・注意点と出生図の解釈についてはこちらの記事にまとめています。
トランジットの天体が留になるときに起こり得ることは?
トランジット(天を運行する)天体が留の位置にくるときには、以下のような出来事が起こり得ると言われています。また、実際に歴史上の重要な出来事・事件・イベントが天体の留のときに発生しています。
- 戦争や紛争に関する節目になる出来事(戦争勃発、奇襲、停戦等)
- 政治危機やスキャンダル
- 災害や天災、悲劇的な事故や事件
- 文化的なブレイクスルー、大発見、ターニングポイント
- 考古学・民俗学的な発見
以下、それぞれのケース別に具体的な事例を紹介していきます。
以下の具体例でも分かるように、2つ以上の外惑星(木星以遠の天体)が同時に留になったり、数日間の間隔で留になっているとき、また、それらの天体同士がスクエアやオポジションなどのアスペクトを取るときは、歴史的な出来事や災害が起きやすいので注意が必要です。
戦争や紛争に関する節目になる出来事(戦争勃発、奇襲、停戦等)
- アメリカ独立戦争時に、イギリスの将軍チャールズ・コーンウォリスが1781年10月19日にヨークタウンにて降伏。この出来事は、アメリカ独立戦争の重要なターニングポイントとなった。この時期、冥王星が留。
- 第二次世界大戦中の1944年6月6日、連合軍がノルマンディー上陸作戦を開始。その日、海王星はちょうど方向を変えた(逆行から順行へ)。この作戦は、海と関連する作戦であり、ドイツ軍の指揮ミスとも関連しているので海王星逆行らしい出来事と言える。
- 第二次世界大戦中のレニングラードの勝利は、1941年9月8日、火星、天王星、土星の3天体が留のときに起きた。
- キューバのミサイル危機は、1962年10月28日に正式に終わる。この時、木星は順行に戻る前日だった。
- アメリカの歴史における悲劇的な事件「ウンデッド・ニーの虐殺」は、1890年12月29日に行われた。アメリカ原住民のおよそ300人の老若男女からなる部族に対してアメリカ白人兵が無差別虐殺をしたこの事件は、アメリカ原住民とアメリカ政府との間での紛争の象徴的なクライマックスと考えられている。この事件は土星が留のときに起きた。
政治危機やスキャンダル
- ウォーターゲート事件は1972年6月17日始まりました。そのきっかけは、ワシントンDCのウォーターゲートホテルでいわゆる「鉛管工」との逮捕でした。その時、冥王星は留になっていました。
- 1971年9月9日から13日まで、ニューヨークは43人の死者を出したアッティカ刑務所暴動によって震撼させられた。この暴動は、まさに火星の留の期間中であり、さらに、土星が順行に戻った数日後の出来事だった。
- ケネディ大統領は、1968年6月5日に暗殺された。この時、天王星と水星の2天体が留だった。
- リンカーンは、1865年4月14日に暗殺された。このとき、金星と木星が同時に留だった。
- マハトマ・ガンディーの甥であるラジフ・ガンジーは、1991年5月17日に暗殺された。その日、水瓶座で土星が逆行に転じた。
災害や天災、悲劇的な事故や事件
- 1967年12月15日、ウェストバージニア州のシルバーブリッジが崩壊し46人が犠牲になった。この事件は、いわゆる「モスマン」ミステリーと呼ばれる謎の未確認動物の伝説と相まって有名になった。このとき、土星、木星、冥王星がほぼ動きを停止する留の状態だった。
- 1929年10月29日の「ブラックフライデー」と呼ばれる株式市場崩壊は、冥王星が1929年10月21日に逆行を開始したばかりのときに起きた。
- 1936年11月20日、日本の秋田県鹿角市の鉱山の池の堤防が結界師375人が死亡する事故が起きた。このとき魚座で土星が留になっていた。
- 天王星と土星という2つの天体ペアは、昔から史上最悪レベルの航空機事故や災害と関連づけられている。 1977年3月27日のテネリフェ空港ジャンボ衝突事故では2機のジャンボ飛行機が正面衝突して583人の搭乗客が亡くなった。このとき、天王星と土星はほぼ正確なスクエアの状態で留になっていた。
- 2014年7月の第三週も、天王星と土星が3日の間隔をおいて次々に留になったとき、以下のような悲劇的な事故が起きた。マレーシア航空第17便が東ウクライナで撃墜され298人の搭乗客が亡くなった。2機のウクライナの戦闘機が撃墜。台湾のトランスアジア航空ジェット機が着陸失敗。アルジェリア航空の旅客ジェット機が行方不明。イスラエル・パレスチナの闘争が悲劇的にヒートアップし、プーチン大統領のロシアとアメリカ合衆国との間の緊張が再燃したため、メディアではこの出来事を第一次世界大戦になぞらえる報道をした。
※天体が留のとき以外にも、海王星が月・その他の天体と特定のアスペクト(角度)を取るときにも地震が起きやすいということがバイオダイナミック農業の研究から分かっています。こちらの記事に詳しい内容を書いています。
文化的なブレイクスルー、大発見、ターニングポイント
- 1961年5月25日、ケネディ大統領が人類を月に送るという歴史的なアナウンスがなされた。この日、水瓶座で木星が順行に転じた。
- 月面着陸したアポロ11号と同様に、NASAのアポロ8号が地球の軌道から離れたというできごとも大きなブレイクスルーだった。同時に、離れたところから地球を見たときの写真を宇宙飛行士が撮影することもこの飛行のミッションだった。アポロ8号は、1968年12月21日から27日まで飛行した。最終日は冥王星が逆行に転じる日だった。
- 1937年5月27日海王星が順行に転じた日、ゴールデンゲートブリッジが公衆に正式に開放された。この橋は、写真映えする名所というだけではなく無数の自殺とも関連している。
- 近年より以前に最も成功した性転換手術と言われる手術が、1952年11月20日、冥王星の留のときにスウェーデンで行われた。
考古学・民俗学的な発見
- 1938年12月23日、海王星の留のときに、絶滅したと思われていたシーラカンスが南アフリカの漁師によって捕獲される。
- 1991年9月19日、アルプス山脈から「雪男のOtzi」と呼ばれる存在が見つかる。このとき、山や山脈と関連付けられる山羊座で天王星が留だった。
- 1991年9月22日、同じく天王星が留で海王星が動きをゆっくりと止めようとしていたときに、ハンチントン図書館は死海文書をはじめて一般公開した。
- 1959年7月17日、タンザニアで考古学者の夫婦がアウストラロピテクスを発見。このとき、蠍座で木星と海王星が同時に留だった。
- 1922年11月4日、ハワード・カーターはエジプトの王家の谷でツタンカーメンの墓を見つけた。この発見は歴史上最大級の発見の一つと言われている。この日、蠍座で冥王星とトラインになった太陽と牡牛座の月人の間で満月、さらに金星が逆行に転じる日だった。
まとめ
- 占星術の留は、逆行の開始直前と逆行から順行に戻る直前、天体の動きが止まっているように感じられるときのこと
- 留になった天体は、その天体のパワーが強く出る
- トランジットでは、特に外惑星(木星、土星、天王星、海王星、冥王星)の留のときに歴史的な事件や事故、出来事やイベントが起きる。
- トランジットで、2つ以上の天体が同時にまたは数日間の間隔をおいて留になったり、それらの天体同士が緊張感のあるアスペクト(スクエア、おポジション)を取るときには注意が必要。
占星術の留について分かる参考サイト・文献
占星術のサイト(英語)
Tectonic Triggers: The Hidden Power of Station Points (Part 2: Mundane Astrology)
占星術の本(英語)
>>>Under a Sacred Sky: Essays on the Practice and Philosophy of Astrology (English Edition)
トランジットでいつ天体が留になるかを調べるにはエフェメリスが便利です。エフェメリスを無料でパソコンからPDFでダウンロードする方法をこちらに書いています。
留の占星術上の定義や意味、出生図上での解釈についてはこちらの記事に書いています。
2018年の天体逆行スケジュール(一覧)はこちらに書いています。