占星術コラム

イエスの誕生とヘロデ王の嬰児虐殺。紀元前6世紀の木星・土星の月による掩蔽~惑星食(月による惑星の掩蔽)の光と影

高橋ともえ

いよいよアドベント期間となり、クリスマスムードが出てまいりました。クリスマスは洋の東西を問わずとても重要なイベントですが、そのイエスキリストの誕生を東方の三賢者が予言したときに使っていたのが「星(占星術、天文学)」であると言われていますね。

でね。

先日、火星食に絡めて、月による惑星の掩蔽について書きました。

月による天体の掩蔽、食(occultation)に関しての考察。月によって隠されることで私たちの心の中に呼び覚まされる高次の惑星意識今年2021年は12月3日に火星食がありますね~!「食」と名付けられていますが、具体的に言うと、「月による火星の掩蔽(えんぺい)」のこと...

一言で言うと、月に掩蔽された惑星は、実は地上に新しい形で生まれ直す・誕生するということです。

もちろん、ただ意識せずにぼーっと過ごしているだけであれば、新しい生まれ直しも誕生もなく、ただただ、掩蔽された惑星(天体)の悪しき意味が垂れ流しになるだけなのですが、もし、地上の私たちが、意識してこの掩蔽という現象に向き合うのであれば(準備するのであれば)、全く新しい惑星意識、より高次の惑星意識が誕生するというのが、月による惑星の掩蔽現象の本質なのです。

そして、かつて古い時代の占星術において日蝕が忌み嫌われた本当の理由は、まさにこれ(新しい天体意識の誕生)なのです。

月が太陽を覆うことで太陽が新しく生まれ変わる=新しい王が誕生するということなので、それを地上の人々が意識すればするほど、それは事実となります。だからこそ、古代王権を維持したい者たちは、日蝕や月蝕を良くないものだとして、怖れさせたわけです。

で。

クリスマスシーズンなので、色々あれこれイエスキリストの誕生のときの星の配置などを調べていて、おおこれは!と思った話題がありましたので、シェアします。

まず、以前2020年秋分のお茶会でお伝えしたように、グレートコンジャンクション(木星と土星の合)と王の誕生は昔から関連付けて語られてきました。よって、Conjunctio Aurea(黄金の会合)と呼ばれ、この配置が起きるときは、地上に新しい王が誕生するということが予言されていたのですね。

※そのときのお茶会のYoutubeはこちらにUPしているよー

特に、西洋の文化の中では最も重要な人物であるイエスキリストの誕生の時期は、ケプラーなども研究しております。
その説を踏襲するならば、イエスキリストが誕生したのは、ちょうどグレートコンジャンクションが起きた紀元前7年~6年(紀元前年は受胎期間、実際に生まれたのは紀元前6年)だと言われています。

ただし私は、シュタイナー系の人がいうイエスは2人いた説を採用するので、実際には紀元前7年の受胎期間を経て、紀元前6年にまずはソロモン系イエス(王の系譜のイエス)が誕生したと思っています。

[つぶやき]双子座流星群とクリスマスの準備~イエスは2人いたという話と2000年前の勇気を受け取る今週12/13-12/15は双子座流星群ですね。今年は上弦の月ですぐに沈んでしまうので、月明かりに邪魔されない流星がみられるみたいです。...

そういう意味では、紀元前6年の星の動きもとても重要になってくるのですが、この紀元前6年の星の動きは、正直そこまでドラスティックなものがないような気がしていたのです。

しかし、「月の天体の掩蔽」というイベントで超重要なことが紀元前6年に何度も起きていたということに気づいたのです。

それが何かというと、紀元前6年の3月から4月にかけて、エルサレム付近で木星と土星を月が相次いで掩蔽するというイベントが起きていたということです。

木星と土星は言うまでもなく王の誕生を告げるグレートコンジャンクションの主役ですが、その2つの星に対して月の掩蔽が起きたということは、これまで地上で優勢だった王権の支配の悪しき面が現れると同時に、全く違う新しい(より高次元の)王が生まれるという意味になります。

ご存知の方もいらっしゃると思いますが、ユダヤの新しい王が生まれるということを知った東方のマギたちは、当時ユダヤを治めていたヘロデ王のところに行って「新しい王が生まれると星に出ていたのでやってきました」と伝えました。

そのことを聞いたヘロデ王は恐怖に駆られて当時彼の王国にいた3歳以下の赤ちゃん(嬰児)を虐殺します。ヘロデ王による嬰児虐殺という故事ですね。西洋絵画でもよく取り上げられるテーマです。

下の絵はブリューゲルの有名な嬰児虐殺の絵。


via Wikipedia Commons

ヘロデ王の嬰児虐殺が起きたのは、紀元前6世紀のことではなく、紀元前5年の春くらいのことだったと言われておりますが、ちょうど紀元前6年に生まれた子供が1歳くらいになるのが紀元前5世紀ですので、この嬰児虐殺はまさに紀元前6年の3~4月にかけて木星と土星を月が掩蔽したというイベントのある種の結果でもあったといえましょう。

権力に執着し非人道的な行為をしてしまった王らしからぬ地上の王(ヘロデ王)と、新しく誕生した王(イエスキリスト)の対比。

この事例からも分かるように、惑星食が起きてくるときというのは、その天体の悪しきイメージが最後のあがきのように権勢をふるう一方で、その裏側ではいつも密かに何か新しいものの胎動も存在しているのですね。

・・・こんな風に、月の掩蔽は気になるテーマですので、まだまだ追いかけてみますね。ちなみに来年2022年は月による天王星の掩蔽も起きるので、その意味なども探っていくと面白そうです。

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ABOUT ME
高橋ともえ
高橋ともえ
星読み風水師
1981年生まれ。 魂の可能性を緻密に描き出すドイツ系西洋占星術と陰陽五行説に基づく日本の卍易風水を組み合わせて「魂の高揚感を地に足をつけて楽に生きる」お手伝いを講座やセッションを通して提供しています。 訳書に、『ヒーリングエンジェルシンボル』(ヴィジョナリーカンパニー)、『四気質の治療学』(フレグランスジャーナル)がある。詳しいプロフィールはこちらから。
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