天王星牡牛座前回(1934-1941年)はどんな時代?~豊穣の女神の恵みは誰のもの?
2018年5月16日深夜(東京を基準とすると時間は0:16頃)、天王星が牡牛座入りしました。牡牛座の天王星は逆行によって2018年11月7日から牡羊座に戻ったあと、2019年3月6日からは約7年間にわたって牡牛座に滞在します(~2025年)。今回の天王星牡牛座イングレスの影響を考えるにあたって、過去(前回)天王星が牡牛座に入っていた1934-1941年を振り返ってみたいと思います。
この記事の目次
前回の天王星牡牛座時代(1934-1941年)はどんな時代?
前回の天王星牡牛座時代(1934-1941年)の歴史的な事件
前回、牡牛座に天王星が滞在していた1934-1941年の歴史的な出来事をピックアップするとこんな感じになります。
- 1934年:東北での大飢饉、ムッソリーニ政権拡大、ヒトラー総統へ、満州帝国成立、ニューディール政策
- 1935年:築地市場オープン、ナチスドイツヴェルサイユ条約破棄、世界初のアウトバーン(高速道路)ドイツで開通、日本は大日本帝国を正式に名乗るようになる、ナチスドイツが国連脱退
- 1936年:2.26事件、阿部定事件、スペインでのフランコの台頭、日独防共協定
- 1937年:スペイン内戦、ゲルニカ攻撃、盧溝橋事件から日中戦争へ、日本大本営設置、トヨタ創始
- 1938年:ナチスドイツオーストリア併合、ナチスドイツポーランド侵攻、日本・国家総動員法、フォルクスワーゲン誕生、ドイツにチェコズデーデン割譲、ドイツでユダヤ人迫害(水晶の夜)
- 1939年:チリ大地震、フランコ政権スペイン戦争勝利、日本で国民徴用令、ドイツでジェット飛行成功、物価統制令・地代家賃統制令、トルコ地震、第二次世界大戦勃発
- 1940年:アメリカ戦時体制へ、ドイツ領土拡大、食堂での米食禁止、「贅沢は敵だ!」、杉原千畝によるユダヤ人救出、日独伊三国軍事同盟、
- 1941年:プルトニウム初合成に成功、アメリカで世界初のテレビ放送開始、アメリカ対日石油輸出禁止、大東亜戦争宣言、日本アジアへ侵略、日米関係悪化、真珠湾攻撃から太平洋戦争勃発へ
前回の天王星牡牛座時代の文化・ファッション・ライフスタイル
また、この時期に流行していた文化やファッション・ライフスタイルの特徴は、以下のようなものになります。
- 昭和モダン(和洋折衷でレトロな中にもモダンさを入れたスタイル)、モボ、モガの流行
- ジャズ(スイング・ジャズ)の流行
- ハリウッド映画の興隆・流行
- 女性的なゆったりとしたファッション
- 大劇場の建築ラッシュ
- 日本での鉄道開通とデパート(百貨店)の開店
- アメリカンコミック全盛
- オーガニック農業のパイオニアたちが世界各国で活動を開始する
前回の天王星牡牛座時代が教えてくれる課題~豊穣の女神の恵みは誰のもの?
(ルーベンスのパリスの審判。エリスという争いの女神が投げ入れたりんごを巡って、誰が最も美しい女神なのか、ヘラ、アテナ、アフロディテがパリスの審判を仰いでいる。出典:Wikipedia)
前回の天王星牡牛座時代は、1929年の世界恐慌後という金融危機の後の時代。アメリカでは1933年ごろからニューディール政策により富の再配分をする政策が行われ、失業者救済などが行われました。このような「富の再配分」というのは、天王星牡牛座時代の重要キーワードですね。
こうして経済が少しずつ復興してきたことをバックグラウンドに、各国で芸術活動が盛んになりました。特に映画が全盛期になりました。
ハリウッド映画はもちろん、マレーネ・ディートリッヒなどヨーロッパの女優も活躍し、時代のアイコンになりました。日本では李香蘭が熱狂的なブームになります。
さらに、鉄道開通によるデパートの開店、洋食レストランの流行などがありました。1941年にはついにテレビ放送がアメリカで始まるなど、娯楽やエンターテイメントの面ではとても豊かな時代であったと思います。ファッションも、金星が支配する牡牛座らしく、女性らしいゆったりとしたラインのファッションが流行し、フェミニンなムードに包まれた時代です。
また、この時代、トヨタやフォルクスワーゲンなどの自動車産業や、テレビ産業が黎明期にあったことも興味深いですね。※そして、自動車やテレビと言うメディアが80年を経て電気自動車やインターネットに取って代わられるという流れも天王星の動きとシンクロしている気がします。
そして、現在の日本でも流行しつつあるオーガニックですが、1924年(天王星牡羊座時代)のシュタイナーの農業講座以降、天王星牡牛座時代に、世界各国でパイオニア的な存在たちが活躍を始めたことも興味深い現象です。農業革命は、天王星牡牛座時代の重要キーワードです。日本の福岡正信などもこの時代に活躍しました。こちらも、ちょうど80年あまりをへてオーガニックが再びムーブメントになっているのもとても興味深いです。
その一方で、国レベルでは、アメリカのように経済復興を果たす事ができた国だけではなく、第一次世界大戦後の経済的に不平等な条約によって敗戦国の経済状況が悪化し、これらの国々ではナチスをはじめとする軍国主義・軍事政権台頭の下地が着々と作られていきました。その結果、地球の土地という土地を列強が奪い合う構図ができ、領土を拡大することに各国国民が熱狂しました。土地の新しい境界線を引く、新しい土地の所有者、というのも実に天王星牡牛座時代らしい現象です。
さらに、戦争ムードの高まりを受けて、世界各国および日本でも個人や民間の物資や金銭などに対する国家の関与・干渉が強まります。最終的には、1940年、「贅沢は敵だ!」というスローガンが掲げられ、国民の経済や食糧事情が縮小・統制されるに至ります。
前回の天王星牡牛座時代は、市民レベルでは芸術や豊かさにフォーカスが当たり、鉄道開通や劇場のオープンによって文化の大衆化がすすみ、より地球に調和的なオーガニック農業へのムーブメントが起きる一方で、国家レベルでは戦争後の不平等条約の不満や石油などの資源(とそれら資源国)という富の分配を巡って、列強国家間の駆け引きや制裁が侵略戦争につながりました。1941年、天王星牡牛座時代がの末期の1939年、第二次世界大戦が勃発します。
実際には、天王星だけではなく、冥王星や海王星、土星や木星などの時代を作る天体とのアスペクトやサインが影響を与えています。前回の天王星牡牛座時代は、後半にかけて獅子座冥王星とのスクエアの配置になるなど、厳しいアスペクトが続いていたので、今回の私達が体験する天王星牡牛座時代とは少し違います。
ですが、全体的な流れを読むと、新しい豊かや富、価値が生まれると同時に、それらの富をどのように配分するのか?というテーマがあると思います。
前回の天王星牡牛座時代を振り返ると、新しい豊穣の女神の恵みをどのように活かしていくのか? 価値あるものをどのように分配していくのか? 経済が平和なものでなければ、文化も社会も平和にはなり得ないし、生まれた富もかえって争いの火種になってしまう。そんなことを感じます。
以前、天王星牡牛座時代は、新しいエネルギーにふさわしい価値ある容れ物を探す時代だと書きましたが、他人のものを奪ったり、不平等や専有という形で容れ物を獲得する行為としてこの容れ物探しが始まると、それは牡牛座のネガティブな側面が出てきてしまうのではないかと感じました。
前回の天王星牡牛座時代の影響・テーマ・出来事まとめ
改めて、前回の天王星牡牛座時代を特徴づけるキーワードをまとめてみます。
- 芸術文化(映画など)の興隆
- フェミニンな文化の流行
- 衣食住の豊かさ
- オーガニック農業の勃興
- 金融に対する国家の統制
- 全体主義国家の台頭
- 富を巡る国家間の戦争