新しい時代の男性性について考える。「竜とそばかすの姫」のしのぶ君と待てる、見守れる、女性性の強さを引き出せる男性性

高橋ともえ

これまで女性性の話ばーっかり書いてきましたが(笑)、ここで、新しい時代の男性性についても書いてみたいなと思います。

こういうのは、アーティストの方が感性があるので的確にとらえているなと思うので、「竜とそばかすの姫」に出てくるしのぶ君を取り上げてみたいと思います。

※「竜とそばかすの姫」については以前一度分析しましたー!

「竜とそばかすの姫」~究極の女神性(魚座海王星)の開花と負の体験先日、今話題の「竜とそばかすの姫」を観てきました~! もともと細田守監督の作品は好きなのですが、劇場で見てあっさり涙腺崩壊した(笑) ...

この物語の中で、主人公の鈴がひそかに思っている幼馴染のしのぶくん。カッコいい王道の少女漫画の主人公男子キャラです(笑)

(はーかっこいい(ノД`)・゜・。←少女漫画脳が萌えていますww)

しのぶくんは、鈴の幼馴染で、鈴がお母さんを事故で亡くした後もずーっと気にかけて寄り添ってきたんですよね。
幼いころに鈴にプロポーズしたこともありつつ、高校になるまでは別々の学校でしたが、高校になって二人は同じ高校に通うことに。

しかし、かたやしのぶ君はバスケ部で女子から絶大な人気を誇り、かたや鈴は根暗な陰キャとしてクラスの片隅に座っているだけ。

ですが、このしのぶ君は、ずーーっと、ずーーっと、傷ついて根暗な陰キャになってしまった鈴を見守り続けているんです。

周りから「お母さんみたい」と呼ばれるような見守り方ですね。

ただしそれは、単に鈴をかわいそうな存在だとジャッジしてハラハラと見守っていたわけではないの。つまり、低次の男性性がやりがちな自分のヒーロー願望を満たすだけの行為じゃなくてね。

むしろしのぶ君の見守り方というのは、鈴の本質を見抜き、鈴=ベルになれるように、つまり鈴が本当に究極の女神性を獲得(統合)できるようにと導くような見守り方だったんですね。

これがねーーー! 私的には、高次の男性性というか、新しい時代の男性性であり、ペルセウスだなあと思ったわけです。

なにしろ、しのぶ君は早々に「ベルは鈴だ」と見破っていましたし、作中で「竜」のオリジンを発見するための重要な転機となるイベント、つまり鈴がUの中でありのままの姿で何十億の人たちの前で歌うイベントに鈴を仕向けたのもしのぶ君でした。

そう、しのぶ君は鈴に、仮面(ベル)をつけたまま歌うのではなく、素顔で歌えと促したのですよ。

この提案は正直、かなり酷なこと。自分のオリジン(素顔)を全世界に晒すというのは裸になるよりも最悪なわけですから・・・。

だけどしのぶ君は、このある意味で残酷な現場に鈴を引っ張っていって背中を押したわけです。

しのぶ君がなんでこういうことができたのかというと、心底鈴の強さ(そして鈴の女性性の強さ)を信じていたからなわけです。

そして、鈴のことが好きだったから、トラウマをトラウマのままに引きずる弱っちいままの鈴ではなく、成長して強くなった鈴になってほしかったんですね。

作品の最後、鈴としのぶ君の会話のシーン。

私は、しのぶくんと一緒に歩いた。

「・・・・・・鈴」

「ん?」

「あの子たち守る鈴を見て、なかなかやるなって思った」

私は、しのぶくんを振り返った。

しのぶくんはじっと私を見て、それから微笑んだ。

「かっこよかったぜ」

私は呆然としのぶくんを見上げた。自分の頬が赤くなっていくのがわかった。

しのぶくんは、歩きつつ、手を広げて大きく背伸びをした。

「ああ、やっと解放された」

と、空を仰ぎながらしみじみ言った。

「もう守るんじゃなくて、これから普通につきあえる気がする。昔からそうしたかったんだ」

私は、今までそんなふうに思っていたしのぶくんのことを、初めて知った。でもなんて言っていいか分からずに、しのぶくんの見ている同じ空を、見上げた。

「竜とそばかすの姫」細田守著より引用

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ここで、昭和の女である私は(笑)山岸凉子先生の「アラベスク」のラストシーンを思い出しましたよ・・・

ノンナがコンクールでグランプリを取り、ミロノフ先生がいよいよノンナにプロポーズをするという話を友達のレオにするシーンですね。

レオ「こりゃまた急な心境の変化ってとこだな しかしうれしいね」

ミロノフ先生「急?じゃないよ 彼女があのシルフィードを踊るまでは待つのは長かった・・・本当に私の手を離れて一人のプリマとして歩き出してくれるのを待つのはね・・・そしてその時はじめて私はノンナの師としての役を終えて一人の男としてノンナに接することができるんだと自分に言いきかせてきたんだ

アラベスクIV第2部2 山岸涼子

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ああ・・・父性?母性?に近いような愛情ですね・・・(*´Д`)

男性性って低次の次元では性急な側面があると思いますが、これに対して父性?母性?のレベルに成長した男性性は「待てる」んですよね。

(そしてこれは、女性性が低次の次元では弱々しさと関連する側面があるのに対して、父性?母性?のレベルに成長した女性性は「かっこいい」んですよ。「かっこいい」は新しい時代の女性性のキーワードですねー!)

ところで最近私、父性愛っていうものに対しての拗ねた思いや擦れた心を是正するようなことがあったんですが、おかげで取りこぼしてきた愛の大きさに気づいて打ち震えています・・・。

これまでは父性的な接し方をする人があまり好きじゃなく(父性愛は厳しかったり、突き放したりしますからね)、こわいーーと思っていましたが(爆)、そこにある深い愛に気づいてフルフル感動しました。

自分の父のことを思っても、人間的な弱さがあったことは確かだけど、それ以上の大きな愛があったよなと再確認できたし、過去の男性陣のことを振り返ってみて、一見厳しい人、一見優しい人の評価が180度変わってしまったのよね。本当の優しさというものに気づいたというか・・・

うーん、ちゃんとした女性たちは当然若くしてこういうところが納得できているから幸せなパートナーシップを結んでいるのですね(爆)

というわけで、新しい時代の男性性は、待てる、見守れる、そして女性性の強さを引き出せるんだなとつくづく感じました。

若いころは依存的だったので守ってくれそうな人にばかり目が向いていましたが、放置してくれる人、突き放してくれる人の方が実は大きな愛に満ちていたんだなと思うようにようやくこの年でなりました。

11/26追記:そして実はそのことは、下で書いている日本古代の転生に関するスピリチュアルジャーニーとも関わっています。

日本古代の転生での魄(はく)を回収する旅。その1~始まりは松江旅行と出雲大社への違和感メルマガ等では少しお伝えしていますが、実は急遽11月13日~14日に奈良に行くことになって旅をしてきました。この旅は、私の19歳からの総...
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高橋ともえ
高橋ともえ
星読み風水師
1981年生まれ。 魂の可能性を緻密に描き出すドイツ系西洋占星術と陰陽五行説に基づく日本の卍易風水を組み合わせて「魂の高揚感を地に足をつけて楽に生きる」お手伝いを講座やセッションを通して提供しています。 訳書に、『ヒーリングエンジェルシンボル』(ヴィジョナリーカンパニー)、『四気質の治療学』(フレグランスジャーナル)がある。詳しいプロフィールはこちらから。
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